「不動産売買契約書」。
活字で見ると、とても固い印象のある書類名ですね。
重厚な契約書ファイルに収められて、契約時にうやうやしく手渡される、あの書類です。
世間一般的に不動産売買契約を交わすのは、多くの方が人生で1回~2回程ではないでしょうか?
今回はそんな大切な契約書を失くしてしまった場合、どのような事になるのか、書いてみたいと思います。
例えば、このようなケース。
・昭和60年(長期譲渡所得)に父親が5000万円(実額の取得費)で購入した土地がある
・その土地を平成26年に父親から相続した
・平成28年にその土地を売却した ※売却金額(収入金額)1億円
・譲渡費用300万円
・相続時に受け取った購入時の書類一式を紛失してしまった
※居住用の3000万円控除、相続税の取得費加算等の特例はないものと仮定、固定資産税の清算金などもないものとする。
上記の場合、相続した不動産を1億円で売却することによって、1億円-(5000万円+300万円)=4700万円の譲渡
所得が発生していますので、譲渡所得税が課税されます。
不動産の売却の場合、金額が大きい為、譲渡所得税がとても高額となります。
ですので、実際の取得費が非常に重要になり、通常は購入時の契約書や領収書等でそれらの金額を証明します。
ところが、購入時の契約書を紛失してしまった場合には、購入価格が不明となってしまい、金額を証明することができ
ません。
この場合、譲渡代金の5%だけが取得費とみなされ、譲渡代金の95%に税率を乗じて計算することになります。
今回のケースで計算すると、契約書類を紛失した場合の税金は約1869万円、契約書類があった場合は約955万円と
なり、その税金差額はなんと、約914万円にもなってしまうのです。
契約書を紛失しただけで、900万円以上も税金を多く払わなければならないなんて・・・。
ちょっと愕然としてしまいますよね。
しかし、これだけ乱暴な課税をするのはさすがにやり過ぎだろうということで、このケースには救済処置があります。
それは・・・。
続きは来週のお楽しみです。
最近のコメント